あかねこの本棚

読んだ本の感想を書いたり紹介したりするところです

俺の妹がこんなに可愛いわけがない1 伏見つかさ

あらすじ

妹、 高坂桐乃は雑誌のモデルになるくらいの美人だ。他にも陸上で全校大会に行ったり、県内4〜5位の成績だったりとかなり出来た人間だ。しかし彼女には誰にも言えない秘密があった。それは「妹ゲー」好きのオタクだという事実。ある日、兄である高坂京介に「人生相談」としてこのことを打ち明けるが……。

 

 

 

 

 

点数 100点中82点

 

 

 

 

 

感想  ※ネタバレ注意

有名なライトノベルを今更ながら読んで見たけど、ラノベ特有の文の軽さの割にはしっかりと中身があって面白かったです。ライトノベルは1巻が売れなくて打ち切りになったとき用に、1巻だけで1度物語を完結させる(と、個人的に考えている)だけあって、妹が父親オタバレしたあとの展開に少し無理があったような気がします。そこの部分でもう少し読者をちゃんと納得させるような話が書けていたらとてもいい作品になっていたと思います。ここからどうやって話を広げるかが楽しみですね。

 

赤朽葉家の伝説 桜庭一樹

あらすじ

 祖母である万葉は『辺境の人』に置いていかれた千里眼の持ち主だった。長じて製鉄業で財を成した旧赤朽葉家に望まれて輿入れし、千里眼奥様となった。

 母は漫画家だった。子供ではなかったが大人にもなりきれなかった母は、終わってしまった青春に縋るように漫画を描いていた。

 私は何者でもない。祖母や母のように何かをしたわけでもなく、ただただ生きてきた。しかし、祖母が死ぬ間際に残した謎。それが私を変える。 祖母は一体何者だったのか。赤朽葉家に生きた3人の女を描いた作品。

 

 

 

 

 

 

点数  100点中90点 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレ注意)

 この物語は三部構成で出来ています。一部は千里眼奥様、赤朽葉万葉。二部は青春時代は暴走族、高校を卒業すると漫画家という異色の経歴を持つ赤朽葉毛毱。三部は何かをした訳では無い、ただ普通に生きてきた赤朽葉瞳子

 

この物語は一部、二部まではその人の人生が綺麗な、しかし力強い文で書かれている。そして三部は、祖母が死ぬ間際に言った一言「私は、人を殺したことがあるんだよ」の真相を確かめるべく、主人公である瞳子が動きます。祖母は本当に殺人者なのか、それとも単なる誤解なのか。祖母の周りで亡くなった人物を調べるが……。

 

この本は人の一生(瞳子は死なないが)がとても美しく書かれています。一部、二部では激動の時代を生き抜く二人の女の姿が瞳子の過去語り形式で書かれている、が、赤朽葉万葉、毛毱という人物に自分の中で形成され、簡単に感情移入できる。だから悲しいシーンでは時折泣きそうになりました。ここまで人を魅了させるのも、流石桜庭一樹といったところでしょう。

そして三部、瞳子による推理パートだが正直いってあまり面白くはなかった。どうも推理の後付け感があるんです。確かに「空飛ぶ男」は一部の一番最初から伏線を張っていたけど、一部、二部の面白さと比べると「うーん」って感じです。確かに三部も自分語りにしてしまうとオチがなくなってしまうのはわかるけど、そこを綺麗にまとめることが出来たら文句無しの100点の小説だった。

 

 

桜庭一樹らしい、「少女」をメインにした小説だった。美しく、力強い文で書かれるこの小説は是非ともオススメします。