あかねこの本棚

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赤朽葉家の伝説 桜庭一樹

あらすじ

 祖母である万葉は『辺境の人』に置いていかれた千里眼の持ち主だった。長じて製鉄業で財を成した旧赤朽葉家に望まれて輿入れし、千里眼奥様となった。

 母は漫画家だった。子供ではなかったが大人にもなりきれなかった母は、終わってしまった青春に縋るように漫画を描いていた。

 私は何者でもない。祖母や母のように何かをしたわけでもなく、ただただ生きてきた。しかし、祖母が死ぬ間際に残した謎。それが私を変える。 祖母は一体何者だったのか。赤朽葉家に生きた3人の女を描いた作品。

 

 

 

 

 

 

点数  100点中90点 ※あくまでも個人の感想です

 

 

 

 

 

感想(ネタバレ注意)

 この物語は三部構成で出来ている。一部は千里眼奥様、赤朽葉万葉。二部は青春時代は暴走族、高校を卒業すると漫画家という異色の経歴を持つ赤朽葉毛毱。三部は何かをした訳では無い、ただ普通に生きてきた赤朽葉瞳子

 

この物語は一部、二部まではその人の人生が綺麗な、しかし力強い文で書かれている。そして三部は、祖母が死ぬ間際に言った一言「私は、人を殺したことがあるんだよ」の真相を確かめるべく、主人公である瞳子が動く。祖母は本当に殺人者なのか、それとも単なる誤解なのか。祖母の周りでなくなった人物を調べるが……。

 

この本は人の一生(瞳子は死なないが)がとても美しく書かれている。一部、二部では激動の時代を生き抜く二人の女の姿が瞳子の過去語り形式で書かれている、が、赤朽葉万葉、毛毱という人物に自分の中で形成され、簡単に感情移入できる。だから悲しいシーンでは時折泣きそうになった。ここまで人を魅了させるのも、流石桜庭一樹といったところだろう。

そして三部、瞳子による推理パートだが正直いってあまり面白くなかった。どうも推理の後付け感がある。確かに「空飛ぶ男」は一部の一番最初から伏線を張っていたが、一部、二部の面白さと比べると「うーん」って感じだった。確かに三部も自分語りにしてしまうとオチがなくなってしまうのはわかるが、そこを綺麗にまとめることが出来たら文句無しの100点の小説だった。

 

 

桜庭一樹らしい、「少女」をメインにした小説だった。美しく、力強い文で書かれるこの小説は是非ともオススメしたい。