86ーエイティシックスー 安里アサト
あらすじ
サンマグノリア共和国。そこは日々、敵国である「帝国」の無人兵器《レギオン》から侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、かろうじて犠牲を出すことなくその脅威を退けていた。.......そう、表向きは。共和国全85区の外、存在しない《第86区》、そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜《無人の有人機》として戦い続けていた。
死地へ向かう若者達を率いる少年シンと、共和国内の管制室から特殊通信で指揮を執る指揮管制官となった少女レーナ。2人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる.........。
点数 100点中100点
感想 ※ネタバレ注意
本屋で初めてこの作品を見た時、正直買うかどうか迷いました。なぜならこういう軍事物のラノベは当たり外れが大きい。どうしても設定が難しくなりがちな軍事物は作者の文章力が問われるんです。こういうラノベはいかに分かりやすく、しかし引き込むように読ませるかが大事。文章力、語彙力、構成力全てが必要とされる軍事系ラノベこそ作家の本当の実力が分かると私は勝手に思ってます。
それを踏まえた上でこの小説、全てが完璧でした。場面転換の激しい戦闘シーンをハッキリと、美しい文で書き上げ、ストーリーはまさに王道の感動物。ストーリーが「転」に入る時の衝撃の大きさは凄かったです。
難しい言葉を多様することは知識をひけらかしているようで嫌味になりやすいだけど、全然そんなことのなかった言葉たち。これぞ小説!って感じでした。これを読まずにこれからのライトノベルは語れないでしょう。そんな素晴らしい作品でした。